漫画版舞-乙HiME

コアなジャンルである「女装少年」に
マシロくん」という新たな金字塔を打ち立てた事に関しては素直に賞賛を送りたい。


それ以外に関しては
触れるとキリがないので手短に言いますと、
短い尺しかないのにアレもやろうコレもやろうと
欲張り過ぎて色々な方面に手を出してしまい、
結局どれもこれも中途半端に終わってしまったなあ、という印象ですか。


個々の扱う要素やテーマはどれも磨けば光るモノばかりだったと思うのですが
どれもこれも必要な描写・タメ・余韻が圧倒的に足りてない。


例えば終盤のHiME対乙HiMEの同キャラ戦はそもそも対決描写が絶無だったし、
(フミさん一人に乙HiMEを全滅させる方がフミさんの強さをアピールできてよかったんじゃね?
まあそのフミさんも一話であっさりやられてしまった訳ですが)
この世に真実など無しVS愛こそは真実
というラストの構図も悪役であるセルゲイのバックボーンが描かれなかった事、
ヒロイン3人の中でまともな描写が殆ど無かったエルスティンが
主人公側の主張の源となっている事で
非常に説得力に欠けるモノになってしまっている。


「過程」を殆どなしに「結果」だけが描かれてしまっていて、
終始物語のダイジェストを読んでいる様な感じ、と言いますか。
これはこの漫画を読んでいて常々気掛かりになっていた事なのですが
結局最後まで改善される事はありませんでしたね。
尺を考えるとある程度は仕方のない事なのでしょうが、しかし残念です。


おそらく書き下ろしの補完でもない限り
コミックスの続刊に自分が手を出す事は無いでしょう。
それだけ終盤のダイジェストっぷりが酷すぎた。


…アルタイ編はガチで大好きで、
「これぞ少年漫画!」なんて真面目に思っていたんだけどなあ。
終盤の怒濤の展開も嫌いじゃなかったんだけど、
HiME登場から何かが少しずつおかしくなってきたし…


せめてなにかひとつに、
例えばマシロくんの成長一本に主軸を絞ればもっと…
いや、もう何も言うまい。


次シリーズと新作の聖痕のクェーサーは期待しておりますよ?
いやホント。