仮面ライダー響鬼 最終話「明日なる夢」


鬼になるだけが人助け・成長の手段ではない。
明日夢の成長劇として見るならば
そこまで悪い内容ではなかったと思います。



裁鬼さーん!!!
 倒しても倒しても終わりが見えない、圧倒的物量に押されるヒーロー。
 イデオンといいトップといい、こういうシチュエーションは個人的に大好きで、
 前回のオロチ鎮めは派手な太鼓アクションも相俟ってかなりお気に入りでした。
 心残りは、やっぱり関東11の鬼(ザンキさん退場だから10人か)。
 スーツ作ってOPに勢揃いさせておきながら、何故本編に出さなかったんでしょう…


 事の顛末が最後まで描かれず、いきなり1年後に飛んだというのも不満。



明日夢、医者志望。
 幼女を病気で死なせてしまえば、明日夢の進路に関して
 より説得力を持たせられたかなぁという気はしないでもない。
 ブラスバンド戦力外通告されてお仕舞いだったのも結構残念。


 しかしあきらもパネルシアターに染まっているとは、なんと凄まじい布教力。
 復讐の念から鬼を志したあきらが
 最終的に福祉の道を選んだというのも、なかなか面白い結末。



もっちー拉致
 洋館の男女が新たなクグツを必要としているのはまあ分かる。
 でも何故もっちー?そのもずく風呂は一体何?


 水槽からもっちーを救出する際は、ただ呼び掛けるだけでなく
 医学部志望らしい行動を明日夢には取って欲しかったかな。
 人口呼吸とかw
 そうすれば京介が明日夢を認めるシーンも説得力は増したのでは



●京介変身体
 鬼の道を諦め医者を志し、その道で日々成長している明日夢に対して
 鬼の道を突き進んだ京介がどれだけ成長したか、という対比の象徴。
 そういう事なんでしょうかねこれは。


 でも一体どれだけの人間が京介変身体の姿を
 見る事を望んでいたのかというと、疑問符の浮かぶ所ではあります。
 京介が初登場した頃から大して精神的に成長した様に思えない、
 というのもあまり喜べない一因になっているのは間違い無い。


 そんな事よりあきら変身体を、いやむしろ裁鬼さんを、
 というのが偽らざる自分の本音。


 結局、京介の立ち位置は「同年代の明日夢の友人」という事だったのかな。
 確かに周りは女の子ばっかりで、明日夢が素直な感情をぶつけて
 喧嘩もできる様な相手は京介しかいなかったし。


 攻撃を音叉で受けてその振動で変身、というアクションは結構好き。



●銃使いのライダーは終盤ヘタレ化する法則
 ディスクアニマルによるもっちーの捜索と威吹鬼轟鬼の活躍。
 それぞれに見せ場を持たせた最終回らしい構成。
 でも通常攻撃で魔化魍撃破ってのはやっぱりなぁ。
 最後位疾風一閃と雷電激震の同時攻撃が見たかったっす。


 そして大型魔化魍と男女に一蹴される辺り、
 実に威吹鬼轟鬼らしいというか(苦笑)



●さらに身なりのいい洋装の男女
 工エエェェ(´д`)ェェエエ工
 結局黒幕に関しては投げっぱなし。
 ボスクラスの敵を誰一人として鬼が倒せなかった。
 せめて白黒のクグツ位は鬼に倒させるべきだったのでは…


 ボスクラスを倒して事件は解決、平和が訪れた、というのは
 確かに響鬼の世界観にはそぐわないかもしれないけれども
 少しは敵に関しての落とし所を最終回にも作っておくべきですよ。
 アクションにおけるカタルシスが圧倒的に足りてない。


 不満点を抜きに語れば、和装の男女すらクグツに過ぎなかった、
 というのは結構なサプライズで、面白いファクターではあると思います。
 鬼達の戦いはこれからも続いていく、という事を明示する
 視覚・感覚的に分かりやすい要素でもありますし。


 オリジナルの男女は遥か昔に居なくなっているのだけれど、
 彼らの生み出したクグツが手足となるクグツを生み出し
 そのクグツが更にクグツ・魔化魍を生み出す。
 このループがオリジナルと元来の目的の潰えた現在まで延々と続いている。


 古来より時代時代に魔化魍が現れていたという
 響鬼の世界観と照らし合わせて考えると、
 こういう妄想もできるから面白い。
 というか、こういう妄想で補完するしかない。



●装甲響鬼VSロクロクビ
 最終回なのにこの盛り上がらない戦闘は一体…('A`)
 最後位は音撃鼓で撲殺して欲しかった。漢字演出が懐かしい。


 ヨブコ戦は大好きなので、別に装甲声刃が駄目って訳じゃないんですが
 今回の鬼神覚声演出はタメが無さ過ぎて爽快感皆無。



●ヒビキと明日夢
 人の為に何かしたい、という願望から鬼の弟子入りをした明日夢にとって
 パネルシアターはこれまで歩んできた道とこれから歩んでゆく道を
 見つめなおすきっかけだった、という事だろうか。


 夕日と「少年よ」をバックに佇む二人、という最終回最大の見所。
 「これからも俺の傍で云々」のくだりは首を捻りまくりでしたが、
 このシチュエーションだけでも十分絵になってる。
 


●最後に
 論争の的になった路線変更については自分は大して気にしていません。
 確かに装甲響鬼には度肝を抜かれましたが、
 ミュージカルやヨガフレイムに唖然とさせられたのも事実ですし。
 演出や脚本に関しても、前期・後期でそれぞれ良し悪しがあった。


 紆余曲折ありましたが、「仮面ライダー」の名を冠した作品で
 これだけの実験作をやったという点については
 素直に評価していいのではないかと。
 本編では無いですが、紅白に細川さんが出てきたのも最高に良かったです。
 彼無くして仮面ライダー響鬼という作品は有り得なかった。


 スタッフの皆様、お疲れ様でした。次のカブトも期待してます。